2025年のインダストリアルミュージック 傑作 Ethel Cain 2ndアルバム「Perverts」最速考察・レビュー!!!!
また凄いアルバムに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ロック史に残るド級の傑作デビューアルバム「preacher’s daughter」については
こちらの記事に日本語による最も深堀りした考察記事を書いていますが
待望の、本当に待望のEthel Cain 2ndアルバム「Perverts」が遂にリリースされました!
彼女自身がこの作品を「プロジェクト」とも「EP」(っていっても全9曲で1時間29分あるよ!! Hayden Silas Anhedönia姐さん!!)
言っている事や、「preacher’s daughter」という作品のあまりの破壊力によって海外では彼女の「信者」が大発生・・・・・
そうした信者的な「盲信」を極度に嫌ったEthel Cainがそうした信者から離れるために"あえて"作った作品とか言われてることから
この「Perverts」が彼女の正式な2nd Albumなのか??問題もありますが
僕は逆に、よくこれだけ「preacher’s daughter」と異なる手法で新たな作品を作り切る事ができるなんて!!
と心底驚いたし、この「Perverts」もまた途轍もない傑作アルバムになったと思っています。
目次
「preacher’s daughter」との根本的な違いとは?
「preacher’s daughter」については上のリンク記事に詳細を書いてますが
1stでEthel Cainが採用していた手法とは所謂「ザザンゴシック」的世界観における
「神への愛」をポツプミュージックのフォーマットへ落とし込むことでした。
しかしこの「Perverts」でEthel Cainが採用したのは紛れもなく
「インダストリアルミュージック」の手法です。
インダストリアルミュージックとは
INDUSTRIAL MUSICについては例えばこの伝説的なRE/SEARCHシリーズの
「Industrial Culture Handbook」や
秋田 昌美氏の名著「ノイズ・ウォー」を読んで欲しいですが
いくらなんでもシンプルに定義しずぎだろ!!と怒られることを覚悟で言えば
ノイズミュージックから1970年代に生まれたインダストリアルミュージックとは
「聖的なものと性的なものを同時に鳴らそうとしたオカルト的ポップミュージックムーブメント」
でした。
いやいや!!逆でしょ!!! 聖的な権威性や性的な肉体性をノイジーな音の塊で破壊しようとしたのが
インダストリアルでしょ? という方も多いと思うんですが、表面的にはそうだったかもしれませんが
上の動画でインダストリアルミュージックのレジェンド Genesis P-Orridgeが言及しているように
当時は言語化されなかったけれど、その基本的な心性は「オカルティズム」だったし
ケネスアンガー先生映画的な「魔術音楽」を目指したのがインダストリアルミュージックでした
そしてその世界観を構築するためにインダストリアルミュージックが用いたのは「Perverts」達の物語。
この有名なジャケットに象徴されるように
Pedophilia(幼児性愛者)的な、歴史上のそして世界中のありとあらゆる
Perverts達の、犯罪者達の、
絶対にこの社会で容認されない欲望のカタチ
に"似せて"ポップミュージツクを鳴らそうとする試み
それが「インダストリアルミュージック」でした
なぜ「Perverts」はインダストリアルミュージック化したのか?
「preacher’s daughter」という作品は「アウトサイダー」の物語でした。
それは今の社会の「外側で生きる」モノたちへの「賛歌」として受け止められたため
上に書いたような「信者」を生み出しました。
彼女にはそれがどうしても許せなかったのだと思います。
と同時に、彼女は「アウトサイダー」の物語を描くことでは破壊出来ないギリギリの「セカイの境界」に気づいたのだと思います。
だからこの新作でEthel Cainは「アウトサイダー」ではなく「Perverts」というセカイの「破壊者」を唄う事に決めた
この決断はとてもとてもとてもDEEPなものです。
だから彼女にはインダストリアルミュージック的な手法が必要でした。
なぜそんなことがわかるのか言えば、超ーーーーーーーーーーーーーー手前味噌ですが
僕自身が今回の「Perverts」と全く同じ世界観で2019年に
「無敵の人3.0」
という究極の「Perverts」作品を書いたからです
「Pervert(s)」って日本語では「変態」と訳されるかもですが、それを現代にアップデートしたらこれは完全に
「無敵の人」
つてことなんです。
で上の「無敵の人3.0」では「Perverts」の「Punish」と全く同じようにpedophiliaの欲望について書き
「Punish」は彼女自身が幼児性愛者の視点で書いたと話しています
正に「インダストリアルミュージック」的な手法におけるオカルティズム&マジックリアリスムとして書きました。
今作「Perverts」で描かれるのは
Pervets=無敵の人々による「絶対に社会に容認されない」「社会から抹殺されるに違いない」
「愛情=欲望のカタチ」です。
「preacher’s daughter」で「社会の外」を唄ったら、それを「天国だぁーーーーーーーーーーーーー」
とよだれを垂らして集まって来たキモイ信者達の存在によって彼女は再確認しました
こいつらを抹殺する音楽を鳴らさなくてはならない
ということを
死ね!死ね!!死ね!!!みんな死ね系音楽
これまでにもこのブログで日本語による最も深堀りしたテキストとして再三書いてきましたが
2024年最も優れた映画だった
「LONGLEGS」も
そして「THE SUBSTANCE」も
実はほぼ同じ映画といってよくて、その根本的なメツセージは
「死ね!!死ね!!!死ね!!!!!みんな死ね」
という無敵の人的「Perverts」を描いたものでした。
つまり作品のコアにあるのはインダストリアルミュージックに準拠した
「社会の中にいる人々にはわからない欲望」についての作品だったのです
Ethel Cainの「Perverts」はまさにこの潮流にリンクしているし
今作におけるサウンドデザインは冒頭ににリンクした記事に書いたように
極めてデイヴィッド・リンチ作品におけるサウンドデザインに酷似していますが
そして冒頭の記事で書いたEthel Cainとデイヴィッド・リンチの親和性は今回の「Perverts」収録曲のVisualizer全てにデイヴィッド・リンチが作品で必ず使う「Electricity」を象徴する送電塔がFEATUREされていて完全にBINGO!!!でした!!
同時にそんなデイヴィッド・リンチ映画にオマージュした「LONGLEGS」にも激似です
つまりこの「Perverts」は今の優れた作品に通底する
死ね!!死ね!!死ね!!!みんな死ね!!!!! というインダストリアルミュージック的メッセージの
アップデートであるのです
アルバムの中で最も優れた「Housofpsychoticwomn」に隠されたもの
この「Perverts」における世界観を今作の中で最も明確に鳴らしているのは
まるで暗号のようなタイトルと化している「Housofpsychoticwomn」です
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
There was a point where everything bent down
And it took something from me
Something i can’t quite explain
And i always wondered if it would come back
And love me the way it said it was supposed to
But maybe it lied
Maybe it was all a lie
I’ve tried so hard to explain in words what it meant to me
How it felt to me
But maybe it’s not meant to be explainеd
Maybe it’s not meant to be markеd down in words
Or scrawled out on a piece of paper
Until then, i guess i’ll just lie here and wait
Wait for it to come back
Wait for it to love me again
Do you think you know how to give up
Do you think you understand what it means to be loved
You don’t, and you never will
But i can tell you right now
It’s beautiful
It is such a precious thing to be loved
Such a precious, magnificent thing to be loved
Such a wondrous and painful thing to be loved
When you were young, you said you wished that someone loved you
I do
I do
I do
I do
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
この今の社会では容認されない
「狂ったような愛」
こそが「Perverts」のメインテーマなんですが
で!!!!!これは自画自賛でゴメンナサイなんですが、日本語でこの本に最も言及しているのが
僕で、これは犯罪的に日本ではまだ未翻訳の映画史本の近年における最高傑作
「HOUSE OF PSYCHOTIC WOMAN」のことなんです
House Of Psychotic Women from Les films de chambre on Vimeo.
ほとんどの方は映画史における「PSYCHOTIC WOMAN映画」という系譜についてご存じないかもですが
この
「美しく狂った女たち」
というテーマは2000年代の映画における最大のテーマとして海外では認識されていて
僕はそのことをずーーーーーーーーーーーーーーーーーっとお伝えしてきましたが
遂にこの「Perverts」でもそのテーマが鳴らされたこと。
それはポップミュージック史においてエポックメイキングな途轍もないことです
そして「Perverts」に唯一ある問題点とは?
ただ!! 「無敵の人3.0」で今作「Perverts」とほぼ同じ世界観を作り
そしてこれも唖然としたんですが、この「Perverts」における「エレクトリックドローン」的なトラックと
全く同じサウンドを2015年の「DREAM MACHINE」でボクやってしまってるんです・・・・・・・
この「DREAM MACHINE」を見ることができる機会というのはほぼない(泣)と思いますが、「Perverts」と全く同じサウンドが鳴っているのでがんばって見てほしいーーーーっす!!
もうこの時の様々な評論家の方々や、今や(様々な問題で死に体の・・・)MOOSIC LAB信者の方々による
「なにこれ・・・・・・古くなーーーーーい」
みたいな白痴系リアクションは未だに許せないっす!!っていうか
Ethel cainも今同じことやってるんすけどーーーーって感じで
土下座していただけたら許す!!(偉そう・・・)モードですが
僕みたいなものでも鳴らしてしまった2015年のサウンドと
2019年の「無敵の人」的世界観
このまんま的な作りでEthel Cainが2025年に作品を作ってしまう事
それはめちゃくちゃ正しい、途轍もなく正しいポップマナーなんだけど
彼女には、その先のポップミュージックを鳴らせるはずなんですよ!!!!
僕はセカイに絶望して「DREAM MACHINE」を作り「無敵の人3.0」を書きました。
でも2024年からの僕はこのブログでは延々書いているように「AI」という
武器
を得て、「死ね!!死ね!!!死ね!!!みんな死ね」から先の世界への新しい出口をつかんだと思っています。
Ethel Cainにもまたこのインダストリアルポップミュージックとしての大傑作!!!のその先に
また全く次元の異なるPOP MUSICを作ってほしいし、彼女はこの「Perverts」をプロジェクトと言ってる時点で
完全に世界観の違う新たな作品を既に作り始めているのだと確信しています
2025年1月10追記。本日、まるでデヴィッド・リンチの最高傑作「INLAND EMPIRE」の1シーンのような「Vacillator」のMVが公開になりました!
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