リベラルは「NO」ではなく「YES」の物語を語れるのか? Ezra KleinとDerek Thompsonの「Abundance」が必読!!!
メチャクチャ面白い!!!とにかくSNSによって先鋭化された「分断化」のその先の未来を
求めている方々には今すぐ読んで欲しいッッッッ
NEWYORK TIMESのライターで、リベラル系ポッドキャスターとして全米で最も支持されている
エズラ・クライン氏とDerek Thompson氏による最新書籍「Abundance」読了!!
日本でもEzra Kleinは政治的言説における血みどろの分断化を最もDEEPに解説して全世界を震撼させた
「Why We’re Polarized」でご存じの方々もいらっしゃると思いますが
この新作が素晴らしいのは日本でも嘲笑と悲観にまみれている
「何故リベラルは敗北するのか?」
という世界史的命題に関して超ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーPOPな解決策を提案してるところなんです
目次
リベラルは「NO」ではなく「YES」の物語を語れるのか
◉ リベラルに欠けていた「肯定のストーリー」
彼らが問題視しているのは、ここ10年のリベラルの語り口が常に反対・規制・是正・反省の語彙に満ちていたこと。これは倫理的には正しい。でも、それでは人は動かない。「MAGA」はシンプルだし、心に火をつける。「誇り」と「約束」のナラティブがある。
対してリベラルはどうか?
「それは差別的だからやめよう」
「それは環境に悪いから制限しよう」
「それは不平等だから再分配しよう」
──全部必要。でもそれだけでは未来が見えない。だからこそ彼らは「ABUNDANCE(豊かさ)」というフレームで、リベラルの再武装を提案する。
◉ 「ABUNDANCE」が描く、新しいリベラルの物語とは?
それは一言で言えば:
「豊かさは作れる。技術と制度によって“不可能”を“可能”に変えることで、全員が得をする世界をつくれる」
▷ キーワードは「可能性(possibility)」
エネルギーの豊かさ(例:原子力の再評価、再生可能エネルギーの超拡張)
住宅供給の自由化(NIMBYを超えて、都市に住む自由をすべての人へ)
移民の活用(人口減社会を豊かにする鍵として)
AIの活用(教育・医療・行政のボトルネック解消)
**すべてに共通するのは「制限から解放せよ、そして可能性を解き放て」**という態度です。
◉ リベラルよ、ビジョンを語れ。「制限する」のではなく「増やす」のだ。
Ezraたちは言う。リベラルは「足りないものを奪い合うゲーム」から抜け出し、「みんなが手にできる可能性を拡げるゲーム」へとパラダイムを移行すべきだと。
「気候変動に反対」ではなく「クリーンで無限のエネルギーを安く手に入れる世界を作ろう」
「住宅価格を下げろ」ではなく「好きな場所に住める、自由でアクセス可能な都市を実現しよう」
「AIを恐れるな」ではなく「AIを味方にして、人間の創造性を100倍にしよう」
これはまさに「新しき良きアメリカ」の物語であり、豊かさの未来を手にできる世界中のリベラルの希望のシナリオだ。
これは直接的にはトランプ的「古き良きアメリカ」というナラティブへの完璧なカウンターとして
「新しき良きアメリカ」
というナラティブしか民主党、そしてリベラルにはそのコアとなるナラティブは残されていないという
切実なメッセージなんです
それはピーターティールやイーロンマスク的「リバタリアニズム」とどう違うのか?
実はこの「ABUNDANCE」の提言とは、このエントリーでも書いた
ピーターティールやイーロンマスク的新しいリバタリアニズムと近い主張です
そのことはEzra KleinとDerek Thompsonも自覚していて
このほんとーーーーーーーーーーーーーーーーーに素晴らしい「FREEPRESS」のポッドキャスト
この動画を見れば「ABUNDANCE」を読まなくても彼等の掲げるミッションの重要性はわかるので必見
<まだこの素晴らしい「ABUNDANCE」は日本未翻訳ですが、この動画の中でこれを書くのにインスパイアされたと言っている『ラグジュアリーコミュニズム』は日本でも手に入るのでこちらも是非!!!
ここで Ezra KleinとDerek Thompsonはピーターティールによる有名な
「空飛ぶ車が欲しかったのに、代わりに手に入れたのは140文字だった」
という絶望にシンクロして
リベラルによる「不確定性に対する拒絶」が実体社会における革新的未来創造を阻害(空飛ぶ車)してきたので
革新的創造は彼等による監視が及ばないテック系へと集約してしまった」
というこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーれが結構この本のコアなんですが
でもそうした「リバタリアニズム」に内包された
「もうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお前らは全員キモイから全員死ねよ」
というナラティブ、この命題に対する新しいナラティブを作れないことが
アメリカの全世界の、そして日本における
「リベラルの敗北」
を決定づけているコア中のコアなんですが
この「Abundance」が優れているのは
「その敗北を認めて新しい"YES"をつかめ!!!」と言ってるところなんですね
さらに突き詰めて言うと下のエントリーで日本で最初に言及したようにEzra KleinとDerek Thompsonもまたこの動画内でトランプは間違ってる、でも彼がやっていることの革命性は認めざるを得ないと言っています
:「リベラルよ、MAGAに対抗するには“YES”を語れ」
「ABUNDANCE」が求めているのは、悲観の終焉である。 怒りではなく、可能性に胸を打たれる政治。
批判ではなく、創造の欲望が連鎖する社会設計。
世界のリベラルはこの言葉を掲げるべきだ:
“Not less for them, but more for all.”
(彼らから奪うのではなく、すべての人にもっと与えよ)
日本中のリベラル陣営の方々が今すぐ読むべきバイブル的作品だと思います
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