これはグラミー賞受賞への偉大な一歩だ! Mrs. GREEN APPLEは新曲「breakfast」で何故BTS「Dynamite」をオマージュしたのか?完全考察

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先日彼らのTV冠番組「テレビ×ミセス」はJPOP史を更新する革命的番組だ!!とした
エントリーをしたばかりですが

おーーーーーーーーー!! 日本語によるBTSの考察テキストの中で
最も読まれている記事の一つになっているこれを書かせていただいた

KPOP大学にとってドストライクなPOP ANTHEMが登場!!!
Mrs. GREEN APPLEの新曲「breakfast」について
その楽曲構造から海外戦略まで、そして今回なぜミセスは確信犯的に
BTSの「Dynamite」へのオマージュを制作したのか?
完全版の徹底考察をさせていただきます!!!

両曲に共通する「王道コード進行」

共通点:ダイアトニックコード中心のI–V–vi–IV(カノン進行系)
どちらの楽曲も、メジャーキーでのダイアトニックコード(=その調で自然に使える和音)を用いた
安定した進行を基盤としています。

特に「I(トニック)–V(ドミナント)–vi(平行調)–IV(サブドミナント)」といった
ポップスの王道進行を用いてるんですが

「Dynamite」のコード進行構造のほうは
IV → V → iii → vi → ii → V → I のような形で、セカンダリードミナントを絡めたややゴージャスなカノン変形です

一方「breakfast」の方は
 IVmaj7 → V → vi7 → I展開で
IVmaj7(Fmaj7)やvi7(Am7)などテンションを加えたコードを使い、ややジャジーでエモーショナルな響きに

そしてどっちもラストでキーが上がって転調されることで王道のDISCO POP ANTHEMになっています

最近のMrs. GREEN APPLEはプログレかよ?!?!?ばりの難解な構造の
正に上にリンクした「テレビ×ミセス」記事で書いたような1970年代のシアトリカルロック化していたので
ここまでシンプルな楽曲は久しぶり、もちろんこの「breakfast」は朝番組のタイアップソングなので
その発注に最適化されてるわけですが、この曲には今後のMrs. GREEN APPLEの戦略
中でも海外進出に向けての意味が込められています。

それはなぜなのか?についてBTSが「Dynamite」で行ったことを振り返ります

BTS『Dynamite』のグローバル戦略

BTSは「Dynamite」で本格的に米国市場を狙った戦略を展開しました。
まず 楽曲自体がグループ初の全編英語詞であり
これは「韓国語だと米国の一般リスナーには novelty(珍しさ)はあっても内容が伝わりづらい」という業界の指摘を踏まえ、
英語で歌うことでハードルを下げる狙いがあったとされています
実際アメリカのラジオDJも「『Dynamite』を聴いた瞬間、
彼らがメインストリーム進出を本気で狙いに来たとわかった」とコメントしており
英語詞採用はグラミー賞を含む英語圏での評価を意識した明確な判断でした。

プロモーション面でも、米国のレーベル(コロムビア・レコード)による強力な後押しが行われました。
コロムビアは「『Dynamite』を最優先の楽曲だとはっきり打ち出し」
あらゆるプロモーション機会にBTSをブッキングしました
事実、リリース当時BTSはパンデミック下にもかかわらず米国の主要番組やイベントに次々とリモート出演し、
MTVビデオ・ミュージック・アワードや米人気オーディション番組でのパフォーマンス、
米グラミーミュージアム主催のインタビュー&ライブなどメディア露出を総攻撃的に展開しました

こうした戦略的露出と並行して、コロムビアによるラジオ局への働きかけやプレイリスト拡販も奏功し、
米ビルボードではBTS初の全米No.1シングルとなり
結果的にグラミー賞ノミネートという形で評価にも結びつきました

BTS側は『Dynamite』について当初からグラミー賞を強く意識していたとされています。
その証拠に、同曲はリリース時期や楽曲性がグラミー賞ノミネートを狙うに相応しい形で作られていました。
事実、『Dynamite』はBTSにとって初のグラミー賞ノミネート(第63回・最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス部門)をもたらし、
グループはK-POP初のグラミー候補という快挙を達成しています
米Forbes誌は「BTSは『Dynamite』を西洋音楽業界を制覇するためのトロイの木馬として利用した。グラミー候補入りは数年越しの計画の結実だ」とまで評し
英GQのインタビューでも作曲者のDavid Stewartが「(Spotify時代において)とにかくシンプルで人の心を掴むことを意識した。自分は凝ったサビより
“大仰でわかりやすいサビ”が好きで、だから『Dynamite』でも最後にキーを上げている。全く控えめじゃない曲だよ」と語っています
こうした発言や報道からも、『Dynamite』がグラミー賞をはじめとする欧米の音楽賞レースで通用するポップソングとして
意図的に仕上げられたことがわかります。
BTS自身も「いつかグラミーの舞台に立ちたい」と公言してきた経緯があり、
その夢が現実味を帯びたのがこの楽曲の成功でした

『Dynamite』のプロモーションはグローバル市場(特に米国)に照準を合わせ、
言語・メディア戦略・業界ネットワークを総動員したものだったと言えます。

しかしこの「Dynamite」から「Butter」までの2年間におよぶグラミー受賞戦略はメンバーを極度に疲弊させることとなり、さらには最終的にノミネートにとどまってしまいSONG OF THE YEARを受賞できなかったという挫折感。活動休止前最後のメンバー全員配信でRMは涙しながら赤裸々にその過酷さを語りました・・・

Mrs. GREEN APPLEにとっての海外戦略とは?

そうしたKPOPだけでなくポップミュージック史においても重要な意味をもつ「Dynamite」へのオマージュとは
Mrs. GREEN APPLE自身の海外戦略へのアティチュードを再確認することに他ならない
2024年末の記者発表ではリーダーの大森元貴アニキは
「今のミセスのまま軸足をぶらさず、自分たちの歌を届けられるのであれば海外にもチャレンジしていきたい」と意欲を示しています


ただやっぱり今は10周年のメモリアルイヤープロモーションが最優先となっていて
明確に海外進出戦略が行われているとは言えない状態です。

いつでも「楽曲」がその未来を予言してきたMrs. GREEN APPLE

MVに漂うレトロポップな色彩、ソーダのように弾けるコード進行、そしてなによりも
「笑顔で未来を信じるしかない」 という圧倒的に開かれたメッセージ。
それらはすべてが K-POP黄金期以降の“世界水準ポップ”に対するJ-POPの返答 であり、
しかもその答えを投げかける者は、
かつて「インナーワールド」へと潜り続けていた青年=大森元貴なのだ

『インフェルノ』で地獄を描いた彼が、
『ダンスホール』で再生を信じた彼が、
『ケセラセラ』で運命を受け入れた彼が、

Mrs. GREEN APPLEというバンドは、
常に 「その楽曲によって未来を先に鳴らしておき、あとから現実を追いつかせる」 という
創造の逆転現象を繰り返してきた

そして今、「breakfast」はそのスタイルに、グローバルポップという新たな戦場を加えた。
ここに始まるのはただの海外展開ではない。
これはMrs. GREEN APPLEという“バンド国家”の建国宣言”である

BTSの涙のバトンを、今、笑顔で引き継ごうとするMrs. GREEN APPLE

この「朝食」は、未来への朝食。
大森元貴が焼いたパンは、世界中の少年少女の魂を育てる神聖なる糧。
そしてそのレシピは、グラミーへの一本道のはじまり――

もはや疑いようがない。
「breakfast」は、未来の自分たちのために鳴らされた予言に満ちた
傑作POP ANTHEMだと思います

Posted by nolongerhuman