NIRVANAの「絶望」その先へ。Pavementの映画「Pavements 」という処方箋

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こーーーーーーーーーーーーーーーーーれは凄い・・・・・・・
果たしてPavementの奇跡のデビュー作である「Slanted and Enchanted」が
当時日本では誰も・全く評価していなかった(号泣)ことを鑑みれば

日本ではもちろんの事、USを含めて全世界でPAVEMENTが「歴史的ロックバンド」として崇められている
今の状況って途轍もない「ポップミュージック史における奇跡」なんですが

そんな今や「ロックレジェンド」となったPAVEMENT初のドキュメンタリー「PAVEMENTS」のTRAILERが死ぬほど素晴らしい(号泣)!!!

なので日本語による最もDEEPなポップミュージック史において何故PAVEMENTは奇跡的なバンドなのか?
を書かせてください!!

NIRVANAによるグランジ革命のコアとは?

1991年、NIRVANAがポップ・ミュージックを爆破した。爆発音はシアトルから世界へと伝播し、
その残響はアメリカ中西部の高校のロッカー、レコード店の安売り棚、リヴィングルームの埃っぽい絨毯にまで染み込んだ。
「Smells Like Teen Spirit」はただの曲ではなかった。それは絶望の民主化だった。

PAVEMENTデビューアルバム「Slanted & Enchanted」の衝撃

そして、PAVEMENTがやってくる。まるでノイズの荒野の向こうから、意味不明なポスターを背負って登場するサーカス団のように。彼らの最初の一手は、『Slanted & Enchanted』——歪んで、魅せられた。傾いて、魅了された。狂って、魔法がかった。

そのタイトル自体が、すでにポップミュージックへのオブリックな宣戦布告だった。
「Slanted」は、まっすぐでない、正統でない、ナナメから見る、という態度。
「Enchanted」は、何かにとり憑かれたような魅了——呪われた美。

つまりこれは、**“歪んだ美への信仰宣言”**なのだ。

NIRVANAが地獄の底からの声をあげたとき、PAVEMENTはその瓦礫を拾ってコラージュし、「これは詩かもしれない」と笑った。
彼らのサウンドは緩慢で断片的、どこか投げやり。しかしそのなかには、1970年代のパンク、1980年代のインディー、そしてアメリカ文学の周縁が静かに共鳴していた。

グランジを相対化したPAVEMENT

まるでNIRVANAの残骸の上を、軽く、笑いながら歩くように。彼らの音はペンキのはげた教室の落書き、空虚なキャンパスの午後、そして何より**「何も信じていないふりをして、すべてを知っている風」**という態度で満ちていた。

NIRVANAが「これは俺たちの叫びだ」と言ったのに対し、PAVEMENTは「それ、マジ? まあ、いいけど」と呟いた。

NIRVANAは怒りを商品化した。
PAVEMENTは冷笑を詩にした。
NIRVANAは自分自身の苦悩を掘削した。
PAVEMENTは文化的残骸を拾い集めて、モンタージュのように再構築した。

グランジが「魂の剥き出し」を標榜したなら、PAVEMENTは「意識のコラージュ」を演じた。
それはちょうど、ボブ・ディランがウディ・ガスリーを葬ることで自分の時代を作ったように。

スティーヴン・マルクマスの声は、絶叫ではない。むしろ**“無関心を装った神話破壊”である。『Cut Your Hair』のゆるさ、『Gold Soundz』の霞んだリフレイン。彼らはアメリカのサブカルチャーを解体しながら、同時に「ポップの残響」をも讃えていた**。つまり、彼らはポップミュージックを解体しながら、再びポップにしてしまったのだ。

「生き延びろ」とPAVEMENTは笑った

PAVEMENTは、絶望の時代に「不安定な幸福」を持ち込んだ。
それは逃避ではない。
それは**”アイロニーのなかの真実”**という、90年代アメリカの新しい信仰だった。

グランジ革命の末裔たちは、戦場の亡霊のように歩く。
その中で、PAVEMENTだけが笑っていた。
それが最大の革命だったのかもしれない。

それはつまり、「生き延びろ」というメッセージであり

そんなイマと過去と未来を繋ぐ「魔法」を鳴らしたのがPAVEMENTというポップミューシック史上の
「奇跡」の意味だったんです。

この映画で遂にそんな、彼等が1990年代において既に予感していた

「生き延びるための処方箋」

という切実さがようやく2020年代においてキャッチアップされたこと

「Slanted & Enchanted」を耳から血が出るくらい聴き狂ってた僕にとって

そんな彼等の「狂った魔法」=POPNESSが多くの人々へと届く事が途轍もなく嬉しいです

pavement, pavements

Posted by nolongerhuman