松本人志氏とのコラボという「最悪」の選択・・LAPONEエンタテインメントにINIのマネージメントをする資格はあるのか問題
INIに松本人志氏とのコラボをさせる。
これはアイドル・マネージメントという仕事の、最も根本にあるはずの“文脈を読む能力”そのものが崩壊していることの告白である。
なぜなら、INIとは何か。
彼らはただ顔がよくて、踊れて、売れているボーイズグループではない。
少なくともアーティストとして外へ向かって放とうとしてきたメッセージの一端には、古臭い男性社会の欲望をなぞることではなく、もっと新しい感性、もっと洗練された身体性、もっと開かれたポップネスへの志向があった。
ボクは以前、許豊凡氏の「グラビア観」をめぐって、そのことをかなり本気で書いた。
そこでは、アイドルを安い消費の器にするのではなく、性や身体や欲望をより高度な表現へと変換していく可能性を示唆したつもりだ
なのに、である。
そのINIに、いま、松本人志氏とのコラボをやらせる。
この判断の何がヤバいのか。
それは単に好き嫌いの問題ではない。
「誰と組ませるか」は、アイドル・プロダクションにとって世界観の選択そのものだからだ。
コラボとは露出ではない。
コラボとは宣伝でもない。
コラボとは、そのグループがどんな時代感覚の上に立っているかを、たった数十秒で可視化してしまう残酷な文化装置なのである。
今回、INI公式TikTokに松本人志氏とのダンス動画が上がった途端、困惑や反発が噴き出したのは当然だ。
それはファンが過敏なのではない。
むしろ逆だ。
ファンは、事務所よりもずっと正確に、INIというグループが積み上げてきた意味を理解していたのである。
つまり炎上したのは“偶然”ではない。
ブランドとキャスティングが根本で矛盾していたから、爆発しただけだ。
ここで問われるべきは、松本人志氏を好きか嫌いかではない。
そうではない。
問うべきは、LAPONEエンタテインメントに、INIというグループを預かる資格があるのかどうかだ。
LAPONEは吉本興業とCJ ENMの共同出資で生まれ、公式にもアーティストのマネジメントを主業のひとつとして掲げている。
ならばなおさら、吉本的な回路に“つながっている”ことと、INIに“それをやらせていい”ことは、まったく別問題だと分かっていなければならなかった。
資本の論理で接続可能だからといって、表現の論理まで接続していいわけではない。
グループ会社だから。
付き合いがあるから。
話題になるから。
そんな業界的都合をアイドルの身体に着せた瞬間、その事務所はもうマネージャーではない。
ただの流通業者である。
アイドル運営の仕事とは何か。
それは、タレントを“使う”ことではない。
そのタレントがようやく手にしかけている未来の意味を、誰よりも深く理解し、守り、増幅することだ。
ときには断ることだ。
ときには、目先の話題や社内力学や業界人脈に逆らってでも、
「これはこのグループにやらせるべきではない」
と言い切ることだ。
その拒否の能力こそが、マネジメントの品格である。
しかし今回のLAPONEから見えたのは、その真逆だった。
INIのメッセージを守ることよりも、接続可能な権力や話題性のほうを優先した。
文脈を守ることよりも、露出の回路を優先した。
アーティストの未来よりも、いま目の前にある業界的都合を選んだ。
もしそうでないと言うなら、なおさら深刻だ。
なぜなら、その程度の判断が“ズレていることにすら気づけない”ということになるからだ。
INIは、そんなところに連れていかれるためのグループではない。
彼らは、古びた男性中心的なスターシステムの残響に回収されるために存在しているのではない。
もっと新しいポップへ行くためにいたはずだ。
もっと複雑で、もっと繊細で、もっと2020年代的な身体と言葉のあり方を更新するためにいたはずだ。
だからこそ今回の一件は、単なる失策では終わらない。
これはプロダクション自らが、INIの未来に対して
「ボクたちはあなたたちの表現を本気では理解していません」
と白状したに等しいのである。
アイドルを預かる資格。
それは契約書に書いてあるものではない。
それは資本関係でも、芸能界の力学でも、SNSの再生数でもない。
そのグループが何を語ろうとしているのかを、どこまで本気で受け止められるか。
その一点に尽きる。
今回のLAPONEの判断は、その試験に落ちている。
しかもかなり派手に落ちている。
INIと松本人志氏を並べた瞬間に生まれる“違和感”すら読めないのだとしたら、
それはもはやマネジメントではない。
アイドルコンテンツの生態系に対する無理解であり、
アーティストの言葉に対する侮辱であり、
ファンが守ろうとしてきた時間に対する踏みつけである。
INIを売ることはできても、INIを理解することはできない。
今回のLAPONEエンタテインメントは、そのことを自分たちの手で証明してしまった。
そしてそれこそが、アイドル・プロダクションとして最悪なのだ。
そしてLAPONE様、もうそろそろWMDA(Where My Drums At)越えのANTHEMお願いいたします!!











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