企業国家論というイデオロギー 石丸伸二氏の新党「再生の道」を最速考察!!!
サブカルチャー的な視点で見ても興味深かったなぁ!!!
石丸伸二氏の新党「再生の道」の記者会見
今後様々な視点で色々な考察がされていくと思いますが
現時点で明らかなことは石丸氏はさかんに
「公約はないです」
「イデオロギーって古くないですか」
ということを強調されていましたが
冒頭の20分におけるオールドメディアの「糾弾」での
「ビジネスとしてありえない」というロジック
そして記者会見でも何度も使われた
「イデオロギーではなく実務能力が重要です」
これらは実は明確に、ある「イデオロギー」の表明だったと思います。
その思想=イデオロギーとは
「企業国家論」
です。
歴史的背景と思想的基盤
古典的背景
重商主義時代(16~18世紀): 国家が「企業」として振る舞い、独占的な貿易会社(例: 東インド会社)を通じて富を管理。国家と企業の連携が始まる。
『肩をすくめるアトラス』の影響
アイン・ランドの小説『肩をすくめるアトラス』(1957年)は、企業家や創造的個人が経済を支え、彼らが国家による干渉を受けると社会全体が停滞するというメッセージを伝える作品です。この物語では、「生産者」が国家の不当な介入を拒絶して姿を消すことで、社会に混乱が訪れます。
この小説は新自由主義や企業国家論の思想的基盤となり、効率性や個人の自由を重視する経済観を広めました。特に「政府は経済活動から手を引くべき」というメッセージが、企業国家論の支持者に影響を与えています。
ピーター・ティールの思想と企業国家論
ピーター・ティールは、『肩をすくめるアトラス』の思想に影響を受けた企業家であり、国家の役割を縮小し、テクノロジー主導の自由市場を重視する考え方を支持しています。
彼は「国家は進歩の障害になることが多い」とし、個人や企業が自由に活動する環境を提供する「独立した企業国家」の可能性を提唱しています。
例: シーステッディング構想では、海上に独立国家を築くことで政府の干渉を排除し、企業や個人が自由に活動できる場所を作ることを目指しました。
情報社会とグローバル化
ITの発展と国際競争の激化により、国家の運営も企業的効率を採用すべきという議論が進展。特にシリコンバレーのリーダーたちは「政府をスケーラブルな企業のように運営する」という考えを推進しています。
メリット
1. 効率性の向上
企業的な運営手法(成果主義やデータ主導型の意思決定など)を国家運営に取り入れることで、行政の無駄を削減し、効率的な資源配分が可能になる。
2. 競争力の向上
ピーター・ティールが重視するように、国家が企業のようにイノベーションを優先すれば、グローバル経済での競争力が強化される。
3. 個人の自由の拡大
『肩をすくめるアトラス』が示すように、企業家や個人が創造性を最大限発揮できる環境を提供することで、全体的な経済活力が高まる可能性がある。
4. 透明性の向上
企業のガバナンス手法を取り入れることで、国家運営における透明性が改善され、国民の信頼が向上する。
デメリット
1. 不平等の拡大
新自由主義的な企業国家論では、成功する個人や企業が過剰に優遇される一方、弱者や貧困層が取り残される可能性がある。『肩をすくめるアトラス』の「生産者の優越性」が現実社会では格差拡大につながる恐れがあります。
2. 公共性の喪失
企業的視点では、利益の追求が最優先されるため、教育、医療、環境保護といった公共的な分野が軽視されるリスクがあります。特にティールの「政府は進歩の妨げ」とする思想は、この懸念を加速させる可能性があります。
3. 長期的視点の欠如
短期的な効率を優先する企業的手法では、持続可能性や世代を超えた課題への対応が難しい。
4. 社会的信頼の低下
『肩をすくめるアトラス』のように「成功した個人が社会を見捨てる」イメージが現実化すると、国家や社会への信頼が失われ、社会の結束が弱まる可能性があります。
企業国家論はPOPか??
石丸氏の新党「再生の道」は明らかに海外では20年以上前から
持て囃されている企業国家論そのままであり
会見における政党色の払しょくの主張、まるで企業の説明会や
オンラインサロンのローンチミーティングまんまだったのはこうした背景があります。
去年の選挙からずーっとサブカルチャー的視点で石丸伸二氏を見ると
すでに最先端的な政治的潮流は企業国家論のその先のポスト資本主義的な理念が
一番「POP」なわけで、はっきりいってしまうと「ふふふ古いなぁ・・・・」
なんですが、それは石丸氏の出自がバリバリの「企業戦士」なのだからしょうがないし
氏を応援する人々の多くはやはり意識的にしろ無意識的にしろ
「企業的であること」
について強い情念を持っている
つまり今の自分のコアである「企業性」を全面的に肯定しているか
逆にそうした「今の企業性」に対してルサンチマンを抱えている人々なので
これまでの石丸伸二氏の集大成として新党「再生の道」に
「ザ・企業国家論」
をイデオロギーとして前面に押し出してきたのは潔いなぁーーと思いました。
でもまぁ・・・ちょっと古いのが残念だなぁと
1/17、昨日(1/16)のRehacq様のライブ配信での討論で上に書いた「企業国家論こそが正義である」という論旨が鮮明になりました。とても興味深いので併せてご覧ください
1/18追記。僕みたいな「政治オンチ」でも会見当日に石丸氏の「再生の道」が「企業国家論」というイデオロギー政党であるってことは明確なのに、そうした言及がどの政治系メディア(マス=オールドメディア、SNS系含めて)でもなされていないのに驚くとともに、「企業国家論」というタームさえもムズイのならこの「再生の道」とは「政党」ではなく「プラットフォーム企業」を目指しているものなんです。現時点で「企業体」としての最終形態である「プラットフォーム」(実は自民党の構造はもう昭和の時代から「政治的プラットフォーム」なんですが) を政治という業態において成立させたいっていうのが「再生の道」のコアなんですね。んで!!そうしたGAFAM的企業戦士発想・・・・・これは繰り返しますけど10年ぐらい前のアイデアで、ちょっと最先端のPOPじゃないんですよねー
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません