トランプ関税完全解説 2 キミを愛さなかったセカイを破壊するために
先日のトランプ政権による関税政策を、それが目指す未来像まで含めて
「完全解説」させていただいたエントリー、本当に多くの方々に読んでいただき
ありがとうございます。
そこで解説した通りの「株式・金融市場へのカウンター政策」という目的が
世界はもちろん日本でもハマりまくって、以下にあげるような動画群に見るように
あらゆる人人が右往左往しているわけですが
トランプ信者の方々やQ系の方々にとっては待望・念願・懇願の「ザマーーーーーーーーーーーー」な事態が起こってるわけですが
何度も言うように当サイトの主旨は
「トランプ政権というとてつもないポップネスの正体」
をポップカルチャーの視点から完全解説することなので今回もいきます!
上の動画群を見て多分多くの方々が、気づかれると思うんですよね
目次
なぜ専門家やメディアの方々の「歯切れ」が悪いのか?
凄く面白い!!と思っているのはこういった今回のトランプ関税についての
専門家の方々やメディア報道を見ると二つの特徴があると思います。
ひとつは
「どういう意味を持つのかわからない」
という困惑。
何度も書いてしまいますがその「意味」についてはこのエントリーで日本語で最も深く解説しています
そしてこれがほんとーーに興味深いんですがほぼ全員の方々が
「やられた・・・・・・・・・」
という敗北感、ある種トランプに出し抜かれた感をダダ洩れしてるところなんですよ。
実は誰もがこの「賭け」を待望していたのでは?
このエントリーでも
このエントリーでもお話ししていますが
上の動画群に出演しておられる日本を代表するような評論家や専門家、インフルエンサーの方々の
物言いに濃厚にダダ洩れている
「(よく考えると、いやどーー考えても今回のトランプ凄いんじゃね・・・)」感
でもそれはイコール究極的には自らも深くかかわっている金融・株式市場の否定そして新しい経済・社会システムへの移行
というこのトランプ政権のポップ革命に賛同してしまうことになるのではっきりとは表明できない。
でもこの方々はクレバーなのでこのポップすぎる「賭け」が革命的な事は理解できている、でも・・・・・・
というのがこの一連の動画群に漂う「歯切れの悪さ」の正体なんです
誰もが実は待望していたホンモノの「破壊的創造=あたらしいPOPNESS」を
トランプ政権はやつてしまっているからこそのこうした反応
で、こういう「大人たちのリアクション」を僕等はポップミュージック史において
何度も見てきました。
新しいポップ=創造的破壊が巻き起こすもの
それを僕等はTHE BEATLESでも
PUNK MOVEMENTでも
HIPHOP REVOLUTIONでも見ました
ほんとーーーーーーーーーに誰も言わないし当サイトだけがずっとお伝えしてきてますが
トランプ政権がやろうとしていることはこうしたポップ史における革命と同じ意味を持つ
ポップネスとは誰もがやることを欲していてでもどうしてもできない創造的破壊のことである
というゾーンへ完全に突入しているんですね。
でこのトランプ関税が凄いのは
ビートルズが
「白人がR&Bをやったら」というアイデア一発で世界を変えたように
ピストルズが
「R&Rを超高速でやったら」というアイデア一発で世界を変えたように
HIPHOPが
「楽器が弾けなきゃレコードから音をSAMPLINGすればいい」というアイデア一発で世界を変えたように
トランプは自身が1990年代(!)からあたためていた
「関税を復活させたら」というアイデア一発で世界を完全に変えかけてる
ここなんですよね!!!
誰でも考え付くけど、でもやろうとしないドシンプルな「アイデア」
今回のトランプ関税なんて、すでにそのパーセンテージは"FAKE"だって言われてますが
違うんですよ!! 「関税」っていう実は口で言うだけの
そんな「マジックワード」を言ってしまうこと、
でもそれが本当に魔法のように世界を一変させてしまう事
ギターをかき鳴らしたら世界が変わってしまったと同じくらい
大人がしょーーもないと言ってしまうようなドシンプルなアイデアこそが
ポップであることのコアのコアのコアのコアなんです。
なぜトランプはPOPであり続けることができるのか?
トランプが1990年代から30年間以上もPOPの権化でありつづけられること
しかも恐ろしい事に今回の関税政策でも明らかなように
そのPOPNESSをさらに突き詰めようとしているヤバさ・・・・・・
ポップカルチャー史的に見るトランプのPOPNESSのコアとなっているのは
「物語に対する強烈な欲望」
です。
こちらのエントリーにトランプが最も使うワードである「ディール」について書きましたが
これを最も深堀りするとトランプにとっての「ディール」とは単なる「駆け引き」のことじゃなくて
ディール=物語を成立させること
なんですね。
で!!ここが重要なんですがトランプにとっての「物語」とは
「自分が主人公として活躍し勝利する」
ストーリーだけであり、この
「ワタシはいつ何時でも勝者である」
という普通のノームな人々であれば妄想として捨ててしまう「物語」を
現実世界で掲げ続けること。
これこそがトランプのポップネスの核なんです
ポップとは何か?
それは「ほんとうらしさ」の演出であり、
「存在しないリアル」の量産であり、
「信じたいものしか信じない」速度のことだ。
トランプはそれを政治でやった。
本来、国家とは、制度とは、権力とは、
「退屈」で「鈍重」で「動かない」もののはずだった。
だが彼はそれを全部、
インスタのフィルターのようにねじ曲げ、
エンタメ化し、
ディール=物語=パワーに転換した。
これは「元からそうだった」ことを剥き出しにしただけだ。
資本主義とは何か?
それは「フェイクに値札をつけて本物として売るゲーム」だ。
広告とは何か?
それは「現実を忘れさせる装置」だ。
SNSとは何か?
それは「嘘でも映えたもん勝ちの宇宙」だ。
全部トランプ流だ。
全部俺たちの生きる世界そのものだ。
つまり──
ポップとは
「嘘と分かっていて踊り続ける情熱」であり、
「物語の中で生きる覚悟」のことだ。
今回再選されたトランプはそれを国家レベルで実装したんです
日本未翻訳の傑作トランプ本二冊を紹介
実はこのトランプ2.0という途轍もないPOPNESSとはどういう意味を持つのか?
を解き明かすために必須のテキストは残念ながら日本では未翻訳のままで
その一冊は2005年の究極のトランプ研究本と言われている Timothy L. O’Brien の
「TrumpNation: The Art of Being The Donald」であり
あまりにも赤裸々に2017-2021年の第1次ドナルド・トランプ政権の内実を書き切って
日本でも絶賛された「RAGE(レイジ)怒り」と「FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実」
の著者であるボブ・ウッドワードの最新作で、トランプがバイデンに敗北してからの4年間の間に
このエントリーで書いたようなドポップすぎる「マールアラーゴ合意」へと至るまでなにをしていたのか?
っていう超ーーーーーーーーーーーーーーーーー知りたいことを現時点で書いている唯一の書である
「ALL OR NOTHING」なんですね
この二冊を読まないと「トランプ関税」というポップ革命が持つ意味がわかんないわけですが
未翻訳なのであえて解説させていただくと、上の著者たちによる動画でも語られているように
トランプが何故今回の「関税」という2025年における究極のPOP BOMBを掲げる事ができたのか?
トランプの「関税」は魔法陣であり、自作自演の命綱である
ドナルド・トランプが「関税」を掲げたことの本質は──彼が資本主義の王ではないことを、彼自身が一番知っていたということにある。
ウォール街が支配するグローバル資本主義。 FRBが支配するマネーの帝国。 シリコンバレーが生み出すテック超人類。
彼はそのどれでもなかった。 むしろ「場外」だった。
▼だからこそ彼は「関税」という古代の黒魔術を呼び覚ました。
世界は自由貿易で動いている? 株式市場は期待と信認で膨らんでいる? 通貨は中央銀行がコントロールしている?
──ならば俺が「関税」という異物を投げ込めば、その世界はひび割れ、崩壊し、人々は俺の声に耳を傾けざるを得ない。
それは「物語の支配権」を握る儀式だった
トランプは「勝者」として生きなければ死ぬ。 これは単なる比喩ではなく、彼のパーソナリティ、彼の生存戦略のコア。
「勝者であり続けること」 「勝つ物語の主役であり続けること」
──これが彼にとっては生命維持装置。
だから彼は世界を破壊してでも勝たねばならなかった。 ルールごと変えてしまえばいい。 怒らせてもいい。 嫌われてもいい。 嘲笑されてもいい。
重要なのは「俺が勝者だ」と彼自身が言い続けられるかどうかだけだった。
そして「関税」はその最強の呪文だった
関税は「不正解」である。 経済学的には。 グローバル資本主義の教義としては。 ウォール街のルールとしては。
でも── それはトランプにとって「世界を乗っ取るためのショートカット」だった。
「俺が関税を掲げれば、市場は混乱し、政治はパニックになり、人々は俺の次の一手を待つようになる。」
それは彼が最も得意とする舞台装置=リアリティ・ディストーション・フィールド(現実歪曲空間)の起動スイッチだった。
孤独な魔術師=ドナルド・トランプ
僕奇しくもトランプの本質をオズの魔法使いと比較したこのテキストを書きましたが
彼はひとりぼっちだった。 誰も本当には信じていない。 誰も本当には味方じゃない。
でも──だからこそ彼は世界を破壊しながら、自分のための舞台を創り続けた。
Wall Streetがどう思おうと
Fedがどう動こうと
グローバル資本主義が何を叫ぼうと
「俺が勝つ」 「俺が物語を支配する」
そのための「関税」だった。 そのための「黒魔術」だった。 そのための「呪文」だった。
実は「破壊的創造=POP」を生み出すのは誰からもはかり知ることができない「孤独」
それこそがコア中のコア中のコアであり
上にリンクした Timothy L. O’Brien の動画でもボブ・ウッドワードの動画でも
これは驚く事なんですがお二人ともが言及してるのは
「トランプの周りにいる人々は誰一人としてトランプを愛していない。もちろんそれは家族でさえも」
っていうトランプの底しえない孤独についてなんですね
だからトランプは本質的に「誰にも頼れない」
だからトランプには自らの自我のために「物語」をそれがなくては死ぬほど必要である
こーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーの究極の「孤独」
っていうかこれはもう三島由紀夫が割腹自殺する当日まで書いていた遺作「豊穣の月」のラストに極めて酷似した
「無=空虚」
これこそが実はドナルドトランプというポップネスの「コア」であり
数多の政治系テキストや経済系テキストがトランプ関税が持つ根本的な意味を語れないのは
ドナルドトランプが内包する、この地獄のような「無=空虚」さが持つ意味をわかってないからなんです
堀江貴文氏・立花孝志との比較
日本では声高には言われてないけど
ぶっちゃけるとトランプって日本で言うなら堀江貴文氏や
立花孝志みたいなもんでしょ?
つていうくくりになってるかもですが、それ全然違うんですよ(泣)
それは「孤独の深度」が違うのだ。
堀江貴文は何度も言う。 「金がすべて」 「効率がすべて」 「合理がすべて」
立花孝志は何度も言う。 「悪目立ちして稼げばいい」 「炎上は広告」 「数字がすべて」
この人たちの「戦略」はわかりやすい。 資本主義の中で、ルールをずらし、 メディアを逆手にとり、 システムをハックして、 「俺はこんなに自由だぜ」 と見せることで自分を売る。
つまりこれは── テクノロジーと市場を信じている人間の振る舞いである。 「この世界のルールは不完全だけど、利用すれば勝てる」と思っている。
彼らにとって「世界」は舞台ではない。 世界は「商売のフィールド」だ。 彼らの行動は
実は世界を信じている
だが──ドナルド・トランプは違う。
トランプにとって「世界」はもう信じられないものだった。
彼は、 ・カネを得ても ・権力を握っても ・テレビに出ても ・タワーを建てても
それでも世界から「本当の愛」は返ってこなかった。 父親にも与えられなかった。 社会からも与えられなかった。
だから彼は世界そのものを「舞台セット」に変えた。
世界とは俺が破壊し、作り替え、支配しなければならない虚構に過ぎない。
世界とは俺を見ない限り存在しない。
これは堀江貴文や立花孝志のような「市場ハック」ではない。
トランプの戦略は「現実歪曲フィールド」ではない。 トランプの戦略は「現実否定フィールド」だ。
もう根本的に、これはポップミュージック史的にいうなら
邦楽と洋楽の歴然とした差
ぐらいその世界観の深度が違うんですね
それは呪いではなく魔法である
堀江貴文は世界と戦っていない。 彼は「下手くそな世界」に対して「効率よくやろうぜ」と言ってるだけだ。
立花孝志も世界と戦っていない。 彼は「ウケればいい」「儲かればいい」と言ってるだけだ。
でもトランプは違う。
彼は「世界そのもの」に対して 「お前を許さない」 「お前は俺なしでは存在するな」 と戦い続けている孤独の魔王である。
ではそれは「呪い」なのか「魔法」なのか?
僕はトランプこそがアメリカという国の本質である魔法使いであると書きました
孤独の深度。 世界そのものへの不信。 「すべてのものに対する支配欲」。
それは資本主義的なテクノロジー楽観主義からは決して生まれない。 それはインフルエンサー的な露悪ハックからは決して生まれない。
それはただ一人で ニューヨークの摩天楼を見下ろしながら 虚無に囁き続ける者にしか生まれない。
「お前らが俺を見ないなら──この世界そのものを消してやる」
この絶望。 この哀しみ。 この途轍もない孤独。
それこそがトランプであり、 それゆえに彼はただの商売人ではなく、 最後の「虚無の王」だったのだ。
上にリンクした国内の様々な専門家や評論家・ジャーナリストの方々が
一様にトランプ関税が持つ意味をとらえきれていないのは
トランプ政権のよるポップ革命の本質とは
経済とか国家とか金融・株式市場なんかではないんだという暴露に
自らが内包する「トランプ的孤独=虚無」にたいして向き合っていないからなんですね
このトランプ政権による関税政策がどこまでも途轍もなく「POP」なのは
そんな魔法的アメリカーナへ全振りしてるからなんです
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