これはBTSによる非ポップスター宣言だ!! ニューアルバム「アリラン」考察・レビュー!
うわぁ・・・・・・・よくここまで清く「降りた」なぁ・・・・・
先行曲「SWIM」レビューに続いて
BTSニューアルバム「アリラン」レビュー!!!
このアルバムはBTSが「ポップスター」であることを止める。という宣言であり
ようやく自由になれた彼等に「幸あれ」と感慨をもってしまう作品となりました
シングル曲が一曲もないという驚き・・・・・
ミュージックコンクレート作品の6曲目「No.29」を境界線として
古の「アルバムフォーマット」的に前半(A面)のHIPHOPサイドと後半(B面)のメロー・内省サイドとに明確に分けられた「アリラン」ですが
驚いたのはいわゆるヒット曲フォーマットのポップソング、シングル曲として切れるような楽曲が一曲もないことです。
もう当アカウントではこれまで死ぬほど書いてきたのでここでは繰り返しませんが
BTSがKPOPの「象徴」へと上り詰めたのは、もちろん彼等の音楽、特にHIPHOPへの愛情もさることながら
やはり、「ここよりもっと遠くへ、今よりもっと多くの人々へ」
というポップミュージックの宿命、もっといえば「十字架」ともいうべき
他者の欲望へと繋がること
を使命とした楽曲を作り続けきたところにあります。
その到達地点が「DYNAMITE」であり「BUTTER」であり、その結果がBTSになにをもたらしたのかは
上の「SWIM」のレビューでも再び深堀りしましたが
今回の「アリラン」にはそうしたポップアンセムはありません。
これはつまりBTSが選んだのは自分たちはHIPHOPを愛する「普通の男達・ミュージシャン」であるという選択で
ポップスターはもう目指さないという明確な宣言なんですね
ミュージック・コンクレート作品「No.29」が意味するもの
今回の「アリラン」におけるBTSの「非ポップスター宣言」が最も色濃くでているのは
なんといっても6曲目の「No.29」でしょう
これはSUGAが尊敬していた故・坂本龍一氏も最晩年に手掛けていた
環境音(この曲の場合は韓国の国宝「聖徳大王神鍾」の音)で曲を構成する
ミュージック・コンクレートの手法を採用していますが
兵役・そして数々のソロ作品を経て、BTSは
誰かのための音楽ではなく自分たちのための音楽を作る
グループへと歩みをはじめました。
というか今回のリリースにあたりインタビューでも再三言及されているように
元々BTSとはそうしたグループであったし、「ポップスター」を目指していたことが彼等にとっては疑問だった
だからこその「原点」への帰還としてこの「アリラン」はとてもフレッシュに聴こえるし
あぁ・・・BTSっていいHIPHOPグループだよなぁと感慨をもってしまいました
アルバムジャケットのその先に・・・夢から醒めたあと、それでも歌う者たちへ
BTSのニューアルバム『アリラン』のジャケットで、彼らは誰ひとりとして“スターの衣装”を着ていない。
そこにあるのは、眩しい装飾でも、誇張されたラグジュアリーでも、ポップスターとしての記号でもなく、ただのスーツだ
。いや、ただのスーツ“に見える”ものだ。
だがまさにその「普通」に見えることこそが、このジャケットの最も過激な政治性なのである。
なぜならポップとは本来、過剰だからだ。大きすぎる感情。大きすぎるフック。大きすぎる自己像。
世界に向かって「見ろ」と叫ぶための、巨大な身振り。
だが『アリラン』のBTSは、その巨大な身振りをいったん降ろしている。
ここには“シングル曲になるための曲”がない。
再生回数競争のために磨き上げられた即効性も、TikTok的切断に最適化された中毒性も、
あのBTSなら当然できたはずの「世界を一撃で獲るためのポップソング」もない。
つまりこれは、できなかったのではない。やらなかったのだ。
彼らは長いあいだ、BTSであることを演じ続けてきた。いや、演じるという言い方では足りない。
BTSという、21世紀ポップミュージックが生んだ最大級の神話装置そのものになってしまっていた。
世界の期待、資本の要請、歴史の重圧、ファンダムの夢、K-POPの宿命、そのすべてを背負った瞬間、
もはや彼らは単なる青年ではいられない。
BTSであるとは、ひとつの職業ではなく、ひとつの運命だった。
だが『アリラン』のジャケットに写る彼らは、その運命から少しだけ降りている。
そしてここに、BTSという存在の真の凄みがある。彼らはポップスターになることで世界を変えた。
しかし今度は、ポップスターをやめようとすることで、さらに深い地点へ行こうとしている。
それは“輝き”の更新ではない。
“存在”の更新だ。
きらびやかな夢を見せる者たちから、
夢から醒めたあと、それでも歌う者たちへ。
このテキストで書いたようにBTSとは「勇敢」なグループでした
そしてポップスターから降りるというこの決断もまた途轍もなく勇敢な選択だし
その極めてBTS的な「清廉さ」に溢れた優れたアルバムが「アリラン」だと思います









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