地球に落ちてきた男。BTS JINの傑作ソロ曲「The Astronaut」を徹底考察

2022年10月30日XR脚本とKPOPBTS, David Bowie, JIN, The Astronaut

傑作・・・・・・

ほとんどこの自らのライナーノーツMOVIEで
BTS JIN씨の初ソロ作「The Astronaut」の作り手側・演者として解説はされているんですが

KPOP大学としてはこの曲「The Astronaut」がPOP ANTHEMとして途轍もなく傑作なので
別視点から考察させてくださいッッッ!!!!

僕がとにかく驚いたのはこの曲の
正しいポップミュージックだけがもつ強靭な

「肯定性」

のメッセージにとにかく驚きました。

何度も書いているようにBTSというアーティストがこれまで自らの表現のコアとしてきたもの
それは「孤独と自己肯定感」です

最近兵役も決まったことでここぞとばかりに
BTSとARMYのこれまでの歩みをWEB2.0的ファンダムエコノミーの悪しき例とした
バックラッシュ記事がジワジワ増えていますが
僕の様にただPOP MUSICを愛する者にとっては実はファンダム戦略なんてどーでもよくて

ただひたすらBTSがこれまで世界に対して自らの存在を賭けて差し出した楽曲が
POP MUSICとしてひたすら正しい事

その奇跡だけが僕にとってはBTSの「真実」であり

ポップミュージックが「時代の音」である事

その使命に殉じたBTSの勇気に匹敵するアーティストがこの10年でなかったからこそ

彼等は時代を代表する「音」と「コトバ」と「メロディー」と「肉体性」と
そしてその勇気に見合うだけのファンを手に入れたというシンプルな
POP史的事実があるだけです。

そして!!! JIN씨の初ソロ作「The Astronaut」
COLDPLAYとの共作なのでこれまでのBTS作品の中でも特出して、というか
ド真ん中のUK ROCK構造なのにも驚きましたが

それにもましてKPOP大学が驚いたのはLYRICのそしてMVにおける世界観が
見事なまでに1970年代の傑作SF映画
UKを、というかPOP史を代表するレジェンド
デヴィッド・ボウイが主演した「地球に落ちてきた男」への

逆オマージュ

になっている所です。

1976年、正に今のBTSと同じくらいの人気を当時誇っていたデヴィッド・ボウイのこの作品は
天才監督ニコラスローグによるものだったのでいまだに「難解なカルト作品」といわれていますが
実はメチャクチャシンプルでテーマは「孤独」

自己の存在に対する実存的な不安、離人症的なまでの自己喪失感を
メタファーとしての「宇宙人」を主人公とする事、しかもそれを演じるのが
当時正にロックアイドルだったデヴィッド・ボウイ

という構図は見事に今作「The Astronaut」で踏襲されています。

しかし!!! 今回JIN씨は「The Astronaut」で映画「地球に落ちてきた男」のラストを完全にひっくり返します。

実はKPOP大学もMVの後半まで「あーーこれはThe Man Who Fell to Earthだぁーーーということはラストは・・・」
と思っていたので完全にFLIPされたエンディングに驚きました。

真っ暗な世界に掛かるミルキーウェイのように
キミという確かな光が僕を照らす
その光は今、君へと繋がる真っ直ぐな道へ・・・・

from「The Astronaut」

ツイッターでも書きましたがBTS活動休止後のメンバーのソロワークが興味深いのは
上に書いたようなBTSの最大のテーマであった「孤独と自己」
そして活動休止宣言の配信でRMが語っていた「成長」という命題から
メンバーが全く逃げていない、それは言い換えると

BTSという物語をここで終わらせない

という強い意志に貫かれている所です。

そしてこの「The Astronaut」でもJIN씨は自らの「物語」を全身全霊で

肯定する。

それが元ネタとなっている「地球に落ちてきた男」の結末をリライトした理由であり

MVのラストで本当に誇らしげにこの曲で伝えたかった「答え」を書き付けるJIN씨の姿は

本当に美しいと思います。

10/30 追記 ツイッターのDMにて今回の記事での「The Astronaut」がUK的な音楽だ!という部分がわからないデスとありましたのでコチラにも書かせていただきます。KPOPラバーの方々はそんなの知らねーよかもですがこの曲の元ネタはNetflix「ストレンジャーシングス」で使われてBUZZった1984年の「Never Ending Story」とかやはり1980年代のRoxy Musicをはじめ1970年代末期に生まれた「ニューロマンティク」と呼ばれるUKのポップミュージックジャンルの「ロマンティシズム」へのオマージュになっています。ぶっちゃけ今「The Astronaut」のようなレトロなドラムサウンドやギターサウンドを鳴らしてるバンドは皆無だからこそこの曲のサウンドメイクのありようは正しく「狂って」いて。HYBEは下にリンクを張りますがGfriendの「APPLE」の時と同じような極度に洋楽ヲタな制作体制でこの「The Astronaut」を作っているわけです

2022年10月30日BTS, David Bowie, JIN, The Astronaut

Posted by nolongerhuman