Jallikattu あまりにもXRな「無敵の人映画」の誕生

2020年2月19日XR映画レビューJallikattu, デビルマン, 無敵の人

この記事でわかる事・10年に一本!!奇跡の傑作映画「Jallikattu 」とは?
・そして全ての映画は「無敵の人」化する

実は2018年から2019年の1-3月ぐらいまでは
とにかくひたすら「無敵の人3.0」の構想を練っては書きまくる
っていう日々だったのでほとんど新しい映画をインプットできず
ようやく脱稿してからドドドドーーっと新作に触れたっていうフレッシュ
さもあってか昨年2019年は素晴らしい映画揃いの年だったと思います。
ちなみにコチラが2019 YEAR END MOVIE LIST

1.Jallikattu
2.JOKER
3.Long Day’s Journey Into Night
4.ACUTE MISFORTUNE
5.MONOS
6.MONUMENT
7.LEAVING NEVERLAND
8.The Golden Glove
9.Beanpole
10. Everybody’s Everything
Left Caption

沙奈絵ちゃん

日本公開されてない作品も多いですねぇ
Right Caption

人間失格

これはなんとなくの感覚だけどなんか海外の素晴らしい作品が
日本にリーチする量が減ってる気がするんだけどニャー
今回のJallikattuの運命は!?

異様な予告編

このJallikattuという作品の存在を知ったのは
いつも通り海外の映画サイトを巡回中の時でした。
今回のアイキャッチにも使わせていただいてる
「一体これ、どーーーーーーゆうシーンなの?!?!」という
スチール、そしてタイトルの「Jallikattu」という
コトバの響き・・・・・・
皆さんもあると思いますが所謂音楽を
「ジャケ買い」するのと同じような僕の中の
映画における「スチール買い」魂がこの時点でもう叫んでいました。
これは絶対にヤバい作品だぞ!!と。
そしてYoutubeにあったJallikattuのTRAILER
もう実はこれを見ていただくだけでこの作品が
どういう映画なのかほぼ全てわかるほど
異様で美しいこの大大大大傑作予告編!!

脚本とはストーリーではなくストリームで
そのストリームを筋の代わりに支えているのが
音のグルーヴであるとするXR脚本術のあり様を
このTRAILERほど完璧に体現している映像は存在しない!!
何が起こっているかはわからないけれど
それは全てが決壊する予兆であり
そして僕等は映画が終わった瞬間
全く違う次元の存在になっている事を告げている

この二分間の映像は正に「無敵の人3.0」の冒頭10ページと
同じ視点を人称を持ってる!!と僕は直感しました

「無敵の人3.0」は全編無料配信中です。是非ご一読を

全てが狂っている!!

そして満を辞して遂に見てしまった本編全編・・・・
ぶっちゃけこのJallikattuの「ストーリー」を
書く事ほど意味のないものはないんですが
“敢えて"書きましょう

「牛が村から逃げる、人々が追いかける」

以上!!!!

一時間35分の作品の「ストーリー」じゃないですよね!?
でも本当にあっ!!!!っと言う間に映画は始まり終わります。
何故ならその95分の間流れ続けているのは
「ストリーム」だから。
辛うじてこのJallikattuの驚異のストリームに
似た何かを探すなら、あのトラウマ作品として名高い
漫画版「デビルマン」最終巻の大虐殺からエンディングまで
の異様なグルーヴが一番近いと思います。

注意

下のリンクはかなり「無敵度」が高いので閲覧ご注意ください


全編ひたすら、まるで熱病にかかったかの様な
XRなストリームが充満しているんですが
僕がそのあまりにもとんでもないグルーヴに驚いたのは
冒頭15分間!!!
簡単に言ってしまうと予告編のリズムで
15分間「何かが起ころうとしている」と言う予兆のみがひたすら
イメージのモンタージュで構成されています。
でももしそれが「物語」に対してのアンチでしかないのなら
実験映画ですがJallikattuはそうではありません。
その15分間はとんでもなく「面白い」!
何故ならそこには「ストリーム」に対する確信があり
ストーリー以外に映画が・脚本が伝えるべきものが
確実にある!と監督のLijo Jose Pellisseryと
脚本家のS. Hareeshがわかっているからです。

何故いま優れた映画は「無敵の人映画」を目指すのか?

去年2019年の4月にJOKERの1stTEASERを見た時に
僕は正直ホッとしました。あまりにもあまりにも完璧な「無敵の人」映画・・・
一年以上たった一人で無敵の人3.0を書いていて
「やっぱり無敵の人を主人公にするのは正しいんだ!」と思えたからです。
そして2019年7月に京アニ放火殺人事件が起き
僕は秋葉原通り魔事件の事を書いたシーンにストリームを追加

必読

この「ストリーム」は他のどんな表現形態でも描けなかった
無敵の人3.0におけるオリジナルだと思います

無敵の人3.0は完成しました。
去年のベスト映画にも多くの無敵の人映画がエントリーしています。
無敵の人映画とは何か?
それはアンチソーシャルと言う事です。
孤独を突き抜けたその先の世界の事です。
もしSNS時代へ突入して益々ソーシャルである事に
雁字搦めにならざるを得ない「ストーリー」で
無敵の人を描くならそれはイコール犯罪者にしかなりません。
そしてストーリーで書く「孤独」とは死によって相対化されるだけの
人間関係の一つのパターンに過ぎなくなってしまいます。
そうじゃないだろう?!?!
何故ジョーカーはあの階段で小児性愛者である
Gary GlitterのR&R ANTHEMに合わせてダンスしなくてはならないのか?

何故M.ジャクソンは狂王ルートヴィヒ2世が作った
ノイシュヴァンシュタイン城の様なNEVERLANDを必要としたのか?
それらは全て彼等が飲込んでしまった「孤独」という結晶
家族にも恋人にも、ましてや社会にも共有されない不穏な宝石
それを飲み込んでしまった時、その人には「新しい視点」が
「新しい人称」が必要になる
Jallikattuで村中の人々が覚醒した様に走り出す時の瞳を見て欲しい
その瞳に乱反射するのは明らかに「新しい光」
そう!僕等は孤独というコトバの持つ新しい意味を求めていたのだ。
Jallikattuが2020年代に、この令和という年代において
最も価値を持つ映画である理由、それは
XR的コトバ(セリフ)が孤独の先にある新しい風景を作り出すこと
それを世界中のどんな映画よりも早く指示しているからです。

まとめ


ダーレン・アロノフスキー監督の「マザー」然り
ルカ・グァダニーノ監督の「サスペリア」然り
以前記事にも書きましたがPSYCHIC WOMAN映画の系譜における
「無敵の女」映画はずーっと作り続けられていますが
じゃあ僕ら男の子はどうなの?
僕らの孤独はどうなるの?と言う声に
ようやく映画が1970年代以来、再び答え始めている様に思います。
その多くが無敵の人を題材とする事で
XR的な視点こそがその底なしの孤独からの出口になる!と言う
メッセージを掲げています。

「マザー」「サスペリア」ばりのJallikattu衝撃のラストシーンは
僕らXR脚本を書くものにとって
僕等が「どこまでいけるのか??」
その未来を明確に映像化しています。
2020年代に、この令和時代に生きる「孤独者」全ての人々が
見るべき傑作映画、それが「Jallikattu」です。

今回もお読みいただきありがどうございました。

2020年2月19日Jallikattu, デビルマン, 無敵の人

Posted by nolongerhuman