途轍もない傑作映画 Muidhond(Tench) これは2020年代の「ロリータ」の誕生だ

2020年2月27日XR映画レビューmuidhond, tench, The woodsman, キャメロットガーデンの少女, シベールの日曜日


TRAILER、予告編だけを見て
「ここここれは完全に傑作だ・・・・・」
という確信に包まれる事ほど映画ファンとして
嬉しい瞬間はないと思っています。
例えば2019年なら「JOKER」がそして
このブログでも日本初のレビューを書いた
「jallikattu」はその予告の1stカットを見た瞬間
その作品の全てが僕にはわかりました。
そそそそそして昨日Twitterで速報してしまいましたが
あまりにも素晴らしいTRAILERに衝撃を受けて
もう僕の中では2020年のBEST1映画って事になってしまった
「Muidhond(tench)」
を超ーー先行日本初でご紹介させてください!

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沙奈絵ちゃん

とはいうもののとにかくネット上の情報をかきあつめた
トレンドブログ(泣)的記事で申し訳ないです
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人間失格

現在FULL MOVIEを手に入れるべくアプローチ中ニャンで
今しばらくお待ちを!! そして手に入り次第どこよりも早く徹底解説するニャー!!

原作はInge Schilperoordの小説

映画「Muidhond」英語タイトル「Tench」の原作は
オランダの女性犯罪心理学者であるInge Schilperoordが
2015年に本国で初めて出版した同名のデビュー小説。


僕は「無敵の人3.0」を書くにあたっては
かなり色々な小児性愛資料調べまくりましたが
この小説は知りませんでした(恥ずかしい・・・・)
早速注文したのでこれも届き次第読みますッッ。
AMAZONに掲載されているEXCERPTを読むと
主人公である23歳のJonathanの
一挙手一投足を研究発表のようにひたすら詳細に
記述しつづける文体
が凄いことになっています。

監督のPatrice Toyeについて

ベルギーの女性監督でこの「Muidhond(tench)」が長編4作目。
2作目の「NOWHERE MAN」は脚本が別の脚本家のものですが
1stと3rdはどちらも10代の女の子が主人公で
特に三作目の「Little Black Spiders」はかなり
今回のMuidhondに近づいてきてるイメージ群で
ゴシック版「櫻の園」感素晴らしい!!

監督が語る「Muidhond」は孤独についての映画だ

Patrice Toye監督が「Muidhond」について語るインタビューMOVIEがありました

TRAILERにはない本編カットもあり!

監督曰く「小児性愛者の主人公で描きたかったのは
世界が全て敵にまわってしまった人間の側の視点・孤独です」

そしてもう一つ興味深いのは今作のイメージソースとして
写真家のTodd Hidoの作品集「Intimate Distance」をあげている点

正に記憶の底に浮かぶ距離感のない(無人称の!!)XRな孤独のイメージ群は
世界で一番孤独な者から世界がどう見えているか?の視点としてジャストだと思います

「シベールの日曜日」
「キャメロットガーデンの少女」
「THE WOODSMAN」そして「Muidhond」

とにかくこの「Muidhond(Tench)」のTRAILERに圧倒されたのは
あらゆる"少女と孤独者"映画のイメージを再編集して
アップデートしている
ところです。この1分49秒の中には
シベールの日曜日の

キャメロットガーデンの少女の

ペドフィリアを演じたケビンベーコンの演技が賛否両論を巻き起こした
THE WOODSMANの

「無敵の人3.0」でも引用したこれら傑作「孤独映画」の先にあるもの
ソーシャルなSNS時代となって、より出口のない深淵へと
アリ地獄の様に嵌っていく世界で一番救われない孤独しかない・・・・
それを完璧に描写しているのはこの途轍もなく美しいカットです

この跳ね橋の前にたたずむ主人公JonathenとElkeは
(さすがにこのシーンは監督も知らないと思いますが・・・)
あの三島由紀夫の超絶孤独大作「鏡子の家」の
跳ね橋を「壁」に例えたオープニング

そのものだったりもします。

そして「鏡子の家」のプレ作品として書かれた「鍵のかかる部屋」もまた
少女と孤独者を描写したものでした


まとめ

この孤独映画のラストで20世紀の孤独者
ハンバートハンバートはこう呟きます。

HumbertWhat I heard then was the melody of children at play.
Nothing but that.
And I knew that the hopelessly poignant thing
was not Lolita’s absence from my side…
but the absence of her voice from that chorus.

不在と音楽と孤独と「VOICE」
「無敵の人3.0」は正にこの先を描くためにXR脚本術を必要としました。
そして同じように「Muidhond(tench)」もまた
2020年代の孤独の行方を描こうとしているのです。
是非続報をお待ちください。

今回もお読みいただき誠にありがとうございました。