ダイアローグ・モノローグ・ストリーム XR脚本術流セリフの書き方PART2

2020年2月20日XR脚本術fade to black, images, THE 1975, セリフ, ダイアローグ, モノローグ, 脚本


何度も強調して申し訳ですが
この「脚本千本ノック」を立ち上げた
最大のきっかけは、とにかく新しい時代の
新しい脚本を書くための脚本本・メソッド・チュートリアル
が全然なくて、特に×100!何であらゆる
脚本に関する言説では「構造」の話はしていても
実際に書かなくてはならない「セリフ」についての
言及・書き方がほとんど載ってないんだろう?!?!

と言う疑問から始まりました。
今回はそんな「セリフ」を書くための具体的メソッド
PART2となります

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沙奈絵ちゃん

でも本当になんで脚本メソッドとなると構造の話ばかりなんでしょう?
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人間失格

下に延々「セリフ」について書いてるけど、「構造」はその仕組みをお勉強すればいいんだけど
「セリフ」は学習というよりどれだけ自分の孤独について掘り下げられるか
にかかってるからみんな説明したくてもできないんじゃないのかニャー

ダイアローグ・モノローグそして弁証法

通常、脚本に必要とされている「セリフ」は
大きく分けて
・ダイアローグ
・モノローグ
の二種類があると言われています。
というか全ての脚本メソッドでそう書いてあるので
僕らはダイアローグとモノローグについて学ぶことになります。
でもそうするとその内驚く事を言われるわけです・・・・
曰く、

「モノローグは卑怯なのでなるべく使わない様に」

何だその「卑怯」って!?!?!
なぜダイアローグの方がモノローグより「偉い」の?!?!
大抵その答えは決まっていてダイアローグ=対話
は「弁証法」としてギリシャ時代ソクラテスによって
真理へとたどり着くための思考方法に提唱され
それが現代までズーーーット正しいとされているから

そしてモノローグがNGな理由はそれが往々にして
「説明ゼリフ」となってしまうかららしい。
でもよく考えてみてください。
これどっちも全く共感できなくないですか?

ダイアローグという「嘘」

まずはダイアローグについてですが
今、正と反が対話を交わして
そこから発生した「合」こそが「正しさ」だったり
真の「答え」だぁ!っていう実感ってありますか?
僕は今まで生きてきて様々な場面で「合」が発生した時
吐き気がするほど気持ち悪く思ってきました・・・・

そういうのを世間では「子供っぽい」と言うわけですが
僕には「合」に辿り着いてしまう「大人っぽさ」や
「合」にたどり着かない事を嘆く「安っぽさ」の方が
脚本と言うフォームの可能性を著しく損ねている様に思えます。

モノローグという「偽物の孤独」

そしてモノローグについて。
実は僕も以前はかなりのモノローグ依存症でした。
一つには上記した様にダイアローグに対する強烈な嫌悪感
があった事
二つ目には以前も記事に書かせていただいた様に
僕は友達を一人も持たない孤独な人間なので
そう言う人間が発するコトバならそれはモノローグだろう
と今から考えると浅い「孤独」に対する理解をしていたからです。
ダイアローグは絶対にありえないから
モノローグを書く。実は無敵の人3.0も当初は
モノローグのオンパレードで書いてしまっていました。
でも書きあがったシーンを見ると気持ち悪さしかないわけです。
明らかに「何かが違う」
ダイアローグが気持ち悪いからモノローグに置き換えても
「何かが足りない」感
・・・・・でもダイアローグもだめ
モノローグもだめなら脚本書けないじゃないか!?!?!
この時点で完全に何も書けなくなってしまいました。
おさらいです。
人と喋る事が根本的に嫌いだし苦痛でしかないから
ダイアローグを書かない→わかる
するとそう言う人間が発するコトバは
モノローグだろう→わか・・・・・ん!?アレ??
本当にそうか??? 孤独な人間が発するのは
ホントウにモノローグなのか??
それってそれこそそーいう「刷り込み」を無意識に
なぞっているだけなんじゃないの??
第一僕自身、モノローグなんて喋ってないじゃないか!!

「僕自身モノローグなんて喋ってない」

恥ずかしながらこれに気づいた時にはやっちゃってたなぁ・・・と思いました。
うわぁ・・モノローグも本当の孤独の底で鳴っている
コトバを覆い隠そうとする巧妙で雰囲気だけのニセモノ装置じゃないか!

セリフを書く=統合失調症??

そして答えは簡単だ。一週間でも一ヶ月でも他人と喋らなくても
全然平気な僕の耳に聞こえているコトバは何だ?
それは誰が喋ってる??
それは他の誰でもない「僕」だ。
僕がボクに向けて話しかける声(VOICE)
マズいですね・・・・・・
だってこれ「統合失調症」まんまじゃないですか(泣)


Fade To Blackのエリックじゃないですか

Imagesのキャスリンじゃないですか・・・

でも考えれば考えるほど
僕が人生で一番「会話」をしてきたのは「自分」でした。

セリフと世界を繋ぐXR

幼稚園から高校・大学まで、いつも一人で登校していた
僕はずーっと"自分という誰か"と会話をしていた事
食事も一人で食べる事が多かったので
食べながら"声・VOICE"を聴いていた事
社会人になりなんとなく忘れかけていた
それらの事を突然思い出しました。
さらにその声が聞こえる事、そのVOICEに応える事は
普通に誰かとタイアローグを交わしたり
承認欲求を何処かに潜めたモノローグを発したりする時の苦痛とは
全く無縁のすごく楽しい事だった!!
この感覚をそのまま使うにはどうしたらいいのか?
実はXR用のコンテンツを書こうというのが先にあったわけではなく
この「VOICE」がダイアローグでもないモノローグでもない
「ストリーム」として利用できる、僕的な会話こそが
標準になるであろう世界というものを考えた時

あーーーこれだ!!と思ったのがXR的パラフィクションでした。
今の世界(ストーリー)ならこれは病気です。
でもXR世界(ストリーム)ならこれはアリだ!

セリフを書くとは・自分にとっての孤独の在処を認識する事
・ストリーム化したセリフこそがXR時代に生き残る

それに気づいた時、「無敵の人3.0」のオープニングシーン
のあの津波のように一気に「セリフ」が走り出したのです。

まとめ


セリフとは何か?
ダイアローグにしろモノローグにしろ
ストーリー世界においてのセリフの役割は
その世界の在り様を説明する道具でしかありません。
でも孤独のその先にあるXR世界では
ストリーム化したセリフの響きこそが世界そのもの
その作品世界における心臓の鼓動となります。
もう僕等にはもうすぐ機能しなくなる古い世界について
説明してる時間はないと思います。
アナタの孤独こそをDIGしてください。
その時聴こえる声に耳を欹てて下さい。
それが今必要とされている「セリフ」のサウンドなのです。

THE 1975 The SoundWell I know when you’re around cause I know the sound
I know the sound, of your heart

次回はそのVOICEを文字へと落とし込むメソッドをご紹介します。

今回も記事をお読みいただき誠にありがとうございます